韓国でライセンスビジネスに関わっていると、
「契約を取ること」よりも
「契約を守り続けること」のほうが、はるかに難しいと感じます。
その理由は、韓国市場ならではの構造にあります。
市場が限られているという前提
韓国は人口・国土ともに限られた市場です。
流通も非常に集中しており、
- 大型量販店
- オンラインモール
- 百貨店
といった主要チャネルは、ある程度顔ぶれが決まっています。
その中で、ディズニーやサンリオのようなグローバルIPは、
「できるだけ多くの売り場で、最大限に展開したい」
という前提で管理されます。
その結果起きる「極端な契約分割」
韓国では、同じIPであっても、
- 子供雑貨
- キッチン用品
- 文具
- 水遊び用品
- アクセサリー/玩具
- 生活雑貨
といったカテゴリーごとに、
別々のライセンシーが存在することが珍しくありません。
さらに、
- 量販店向け
- オンライン向け(モール別)
- 百貨店向け
- 一般代理店向け
- 市場(卸)向け
というように、
販売チャネル単位で契約が分かれるケースも多くあります。
つまり、契約は
「商品を作る権利」ではなく、
「どの場所で売るかという陣地」になっていくのです。
営業実力で「取ったり、取られたり」する世界
このような構造の中では、
契約は決して固定的なものではありません。
- 売上が伸びなければ見直される
- 管理が甘ければ他社に移る
- 実績を出せば、次年度に領域が広がる
ライセンサーが見ているのは、
「一社に任せ続けること」ではなく、
市場全体を最大化できるかどうかです。
契約競争が激しい理由は「売上」だけではない
外から見ると、
「どれだけ売ったか」がすべてのように思われがちですが、
実際にはそれだけではありません。
- ブランドをどう扱っているか
- 無理な価格崩しをしていないか
- 問題発生時の初動対応
- 報告・相談のタイミング
こうした日々の姿勢が、
次の契約、次のカテゴリー配分に確実に影響します。
契約はゴールではなく、スタート
韓国でライセンスビジネスを続けていく上で、
強く感じるのはこの点です。
契約を取った瞬間から、
次の契約競争はもう始まっている。
限られた市場の中で、
どの領域を任され、どこを失うのか。
それは毎年、静かに、しかし確実に入れ替わっていきます。
次回の記事について
この構造を理解すると、
「なぜMG(最低保証)交渉がこれほど難しいのか」
「なぜ初年度で消えていくライセンシーが多いのか」
その理由も自然と見えてきます。
次回は、
MG交渉におけるライセンシーの正しい立ち位置について、
実務視点で整理していきます。


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