ライセンスビジネスにおいて、MG(Minimum Guarantee/最低保証)は避けて通れません。
特に韓国市場では、限られた販売テリトリーと激しい契約競争の中で、MG交渉は常にシビアな判断を迫られます。
しかしここで重要なのは、「いくら払えるか」ではなく、「どの立ち位置で話しているか」です。
MG交渉で失敗しやすい立ち位置
交渉がうまくいかないケースに共通するのは、ライセンシーが無意識に“弱い立場”から話してしまうことです。
- 資金的に厳しい
- 初年度なので配慮してほしい
- 他社条件と比べて高い
これらは事実であっても、ライセンサーにとってはライセンシー側の都合でしかありません。
MG交渉で重要なのは、「事情」ではなく「視点」です。
正しい立ち位置は「パートナー視点」
MG交渉におけるライセンシーの正しい立ち位置は、
「IPを借りる側」ではなく、
「IPを市場で成功させる実行者」です。
ライセンサーが見ているのは、MGの金額そのものよりも、
- この会社は市場を理解しているか
- ブランド価値を守れるか
- 中長期で回収できる設計になっているか
という点です。
MGを「下げる交渉」にしない
交渉がうまくいくライセンシーは、MGを「下げてほしい」とは言いません。
代わりに、成功確率を上げる契約設計として提案します。
- 初年度は立ち上げフェーズである
- 無理な回収は価格崩れを招く
- 市場に定着させた方が、結果的に回収額は大きくなる
つまり、MGを減らす話ではなく、成功させる設計の話に置き換えることがポイントです。
グローバルIPでは「自社都合」は通用しない
特にグローバルIPの場合、ライセンシーは自社の都合だけで商品企画や販売スケジュールを組むことはできません。
ライセンサー側には、
- 映画公開スケジュール
- イベントスケジュール
- 新デザインの投入
- 新キャラクターのプロモーション
といった、数年単位で設計された企画スケジュールが存在します。
ライセンシーは、その流れに「合わせる側」であることが前提になります。
MG交渉で問われる「スケジュール理解力」
MG交渉の場で、ライセンサーが実はよく見ているのは、
「この会社は、こちらのスケジュールを理解しているか」という点です。
- 公開・イベント前後で売場を作れるか
- プロモーション時期に商品を間に合わせられるか
- デザイン変更や追加要素に柔軟に対応できるか
ここがズレていると、いくら売上計画が良くても評価は上がりません。
MGは「信頼の前払い」
MGは単なるコストでも、単なる保証金でもありません。
MGは、ライセンサーがライセンシーに預ける「信頼の前払い」
無理な条件で契約を取ることよりも、無理のない形で継続できることの方が、最終的にライセンシーの立場を強くします。
MG交渉で問われているのは「金額」ではない
MG交渉とは、金額を決める場であると同時に、
この会社がIPを任せるに値するかどうかを見極める場
でもあります。
そのことを理解しているかどうかで、交渉の結果だけでなく、契約後の扱いそのものが変わってきます。
次回の記事について
ここまで読むと、自然と次の疑問が浮かぶはずです。
- なぜ初年度で消えるライセンシーが多いのか
- なぜ売上が出ていても契約更新できない会社があるのか
次回は、「初年度で失敗するライセンシーの共通点」について、もう一段踏み込んで整理します。

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