更年期になると、「眠れない」「顔がほてる」「心が落ち着かない」といった不調を感じる人が多くなります。
それは、ホルモンだけでなく自律神経(じりつしんけい)のバランスが深く関係しています。
この記事では、交感神経と副交感神経の働きを理解しながら、日常でできる「神経を整える呼吸と習慣」を紹介します。
自律神経とは? ― 心と体をつなぐ“見えないスイッチ”
自律神経は、心臓や血管、呼吸、消化などを自動的に調整する「体のリズムの司令塔」。
私たちの意識とは関係なく、昼間は活動を促す交感神経、夜はリラックスを司る副交感神経が働いています。
更年期になるとホルモンの変化により、このバランスが崩れやすくなり、自律神経のスイッチが切り替わりにくくなるのです。
副交感神経が働くと、なぜ体も心も整うのか
副交感神経が優位になると、呼吸がゆっくり深くなり、血流や消化機能も安定します。
体温が落ち着き、眠りやすくなり、イライラや焦りも自然に鎮まっていきます。
逆に、交感神経ばかりが優位だと、常に“戦闘モード”が続き、ホットフラッシュや動悸、睡眠障害が起こりやすくなります。
呼吸で副交感神経を高める3つのポイント
- ① ゆっくり「吐く」呼吸を意識する
吸うよりも「吐く」を長くすることで、副交感神経が活性化します。 - ② 鼻呼吸+腹式呼吸を組み合わせる
鼻呼吸は自律神経の調整に直結。お腹をふくらませるように呼吸することで、内臓がやさしく刺激されます。 - ③ 1日3回、5分間の呼吸リセットタイム
朝の目覚め、昼の切り替え、寝る前。この3回だけでも自律神経は整っていきます。
自律神経と「代謝」「炎症」の関係
副交感神経がきちんと働くと、体は「修復と再生モード」に入ります。
その結果、代謝が安定し、慢性的な炎症も鎮まりやすくなります。
実は、この自律神経のバランスこそが「燃えにくい体質」「疲れやすい体質」の根本に関わっています。
次回(第3回)では、この炎症と代謝のつながりを深掘りしていきます。
副交感神経を育てる日常習慣
- 夜は照明をやや落として「夕方のリズム」に戻す
- お風呂はぬるめ(38〜40℃)で10分浸かる
- スマホは寝る30分前にオフ
- 寝る前に「今日よかったこと」を3つ書く(感謝ジャーナル)
呼吸瞑想ワーク(5分)
1分:呼吸を観察
吸う息と吐く息の長さを意識するだけ。
3分:吐く息を長くする
吸う4秒、吐く8秒を繰り返す。
1分:感謝の言葉で締めくくる
「今日も呼吸できた」「体が働いてくれた」と心の中で言葉をかけて終了。
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- 第1回|脳科学で読み解く更年期 ― 神経可塑性とホルモンの再配線
- 第3回|更年期 × 炎症・代謝 ― 慢性炎症とエネルギーの関係
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🪷 まとめ ― 自律神経は「心と体をつなぐ翻訳者」
自律神経は、私たちの心と体の“通訳”のような存在。
更年期の不調は、決してあなたが弱くなったからではなく、
「神経のリズムが変わっているサイン」です。
呼吸を整え、暮らしの中に静かな時間をつくることで、
体も心も、ゆっくりと再調整を始めていきます。
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