更年期は、ホルモンの変化による“揺らぎ”の時期。
 けれどそれは、心と体がこれまでのペースを見直し、「新しいリズムを再設計するための時間」でもあります。
 これまでのシリーズで紹介してきた脳・自律神経・代謝・潜在意識のつながりを踏まえ、
 今回は「日々の暮らしで整えるセルフケア習慣」をテーマにお届けします。
1. 朝 ― 呼吸で一日のリズムをつくる
朝の始まりに、まず「深い呼吸」を行いましょう。
 呼吸は自律神経に直接アプローチできる唯一の行動。
 副交感神経を穏やかに起こし、体を“穏やかなスタートモード”に導きます。
- 吸う4秒、吐く8秒のリズムで5回
- 朝日を浴びながら深呼吸(セロトニン分泌を促す)
- 「今日も呼吸できること」に感謝を向ける
2. 午前 ― 代謝を整える温と巡りの時間
体を冷やさず、代謝を落とさないことが更年期ケアの基本です。
 午前中は、温かい飲み物と軽いストレッチで“巡り”を促しましょう。
- 白湯をゆっくり飲む(体温を1℃上げる意識)
- 肩・首・骨盤の回旋ストレッチで血流を促す
- 午前中はカフェインを控えめにして自律神経を穏やかに
3. 昼 ― 腸を整え、炎症を防ぐ食習慣
腸は「第2の脳」と呼ばれるほど、自律神経と密接に関わっています。
 発酵食品・食物繊維・抗酸化食材を取り入れ、炎症を鎮める“穏やかな食事”を心がけましょう。
- 発酵食品(納豆・味噌・キムチ・ヨーグルト)
- 彩り野菜(トマト・ブロッコリー・人参)
- 黒豆茶やルイボスティーで抗酸化をサポート
4. 夕方 ― 緊張をゆるめる“切り替え”の時間
夕方は、交感神経が優位なままになりやすい時間帯。
 小さなリセットを入れることで、副交感神経がスムーズに働き、夜の休息へと移行しやすくなります。
- 仕事のあとの5分瞑想(頭の中を“無音”に)
- 夕暮れの空を見る(視覚のリセット効果)
- 好きな香りで呼吸を深める(ラベンダー・サンダルウッド)
5. 夜 ― 「感謝」と「静けさ」で脳を整える
寝る前は、脳と心が潜在意識へとつながる時間帯。
 1日の終わりに感謝を言葉にすることで、心の波が穏やかに整います。
 スマホや強い照明をオフにして、キャンドルや間接照明の柔らかな光の中で、
 「今日も一日ありがとう」とつぶやいてみましょう。
- 寝る30分前にデジタルデトックス
- 「今日よかったこと」を3つ書く(感謝ジャーナル)
- ぬるめの湯船で10分(副交感神経ON)
6. 習慣が“再設計”を完成させる
脳科学では、21日間続けることで新しい神経回路が定着するといわれます。
 つまり、セルフケアは「特別なこと」ではなく、小さな行動を毎日続けることが最大の変化なのです。
 心地よい呼吸、静かな夜、温かな食事――。
 それらの積み重ねが、あなた自身の新しい「心と体の地図」を描いていきます。
🔗 関連記事リンク
- 第1回|更年期 × 脳科学 ― ホルモンの再配線と神経可塑性
- 第2回|更年期 × 自律神経 ― 副交感神経を高める呼吸と整え方
- 第3回|更年期 × 炎症・代謝 ― 慢性炎症とエネルギーの関係
- 第4回|更年期 × 潜在意識 ― 思考パターンを書き換える脳科学
🌸 まとめ ― 「静けさ」と「再設計」の先にある光
更年期は、終わりではなく「始まりの準備期間」。
 体の声を聴き、心を静め、ひとつひとつの習慣を整えることで、
 あなた自身のエネルギーが再びやさしく灯り始めます。
 焦らず、比べず、自分のペースで。
 “心と体を再設計する日常”が、これからの人生の光となります。
 
 
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